Road Trip with tokyo grapher
早春の富士五湖を巡る旅 Vol.4

河口湖湖畔の宿に1泊し、ロードトリップの2日目は4時半起きで精進湖からスタートする。
目覚めてすぐに窓外をチェックしてみたが、今日も霧には見放されたようだ。
精進湖は富士山の北西に位置する富士五湖のひとつで、その面積は五湖中で一番小さい。湖の北岸からの眺めは、富士山の手前に青木ヶ原の樹海が広がり、大きな建造物がないため絶景を誇っている。また、その形状は複雑で、南側に溶岩流で分離された小さな湖があるのだが、2つは地中でつながっているためにその海抜は常に同じそうである。
今日の日の出は5時半だ。昨晩は皆でしこたま呑んだのだが、出発時間の5時には13人全員が揃った。宿の朝食までには戻る予定で、薄明かりの河口湖畔を出発した。


朝凪の静寂に包まれる時間

河口湖から西湖の北岸を走り抜け、青木ヶ原の樹海を横目に少し行くと精進湖の誘導看板が見えてくる。
最初の目的地は湖の北西部にある他手合浜(たてごうはま)と呼ばれるスポットで、ここは湖岸まで車を乗り入れることができる。
ここから眺める富士山は、手前にある大室山(おおむろやま)が重なることで、まるで富士山が子供を抱いているように見えることから「子抱き富士」と呼ばれている。あいにくこの日は樹海に立ち込めた朝靄に阻まれて、うっすらとしかその姿を望むことはできなかったが、ここでしか見ることのできない雄大な景色である。

湖岸に車を着ける頃になると、富士山の左手から徐々に明るくなってきた。
空の色がゆっくりと藍色から曙色に変わっていくと、湖面に立ちのぼる靄がゆらゆらと幻想的に浮かびあがる。朝凪の湖は鏡のように景色を映している、車にもたれて景色をぼーっと眺めていると、まるで時間が止まっているような静寂感に包まれてくる。


「陰影」と「波紋」

この朝活で撮りたかったのは、霧に幻想的に浮かぶ富士山だったのだが、晴れてしまったのだからプランを変えるしかない(笑)
日が出て間もない時間の光は、低くてものの陰影を強く浮き上がらせる。被写体の向きを上手くしないと、影ばかりになって真っ黒になってしまうが、サイド光が作ってくれるグラデーションのトーンは美しい。思い切って暗部がつぶれるぐらいにアンダーの写真も印象的で好きだ。
もうひとつやってみたのが、波紋を作って撮るという方法。長靴を履いてきた友人に浅瀬に入ってもらった。低い光が波紋の輪郭を浮かび上がらせてくれて、自分でもお気に入りの一枚が撮れた。

皆の目が覚めてくるにつれ、朝活はなかなか盛り上がった(笑)
小さなほうの精進湖には、結局朝食の後にまた戻ってきた。ここは観光地化していない場所で、溶岩流の流れがそのまま残る荒々しい景観に魅力を感じている。ここは昨年見つけた場所なのだが、その時は霧に包まれて、まるで太古の昔にタイムスリップした感覚になった。
今回は快晴で、すでに太陽が高く上がってしまったのが残念だ。あまりのベタ光に皆の写欲が湧かず、早々に移動することにする。


最終の目的地、山中湖へ

富士五湖を巡る2日間のロードトリップは、山中湖から三国峠に向かう途中の高台、パノラマ台が最終地となる。
ここは初めて訪れる場所なのだが、天気に恵まれれば夕暮れ時に一面が真っ赤に染まるのだそうである。また、山中湖を前景にした雄大な富士山が望める場所らしい。
ただ、どうもツキに見放されたようで、辺りの空には雲が増えてきた。到着した時にはすでに富士山は雲に隠れており、皆のテンションがちょっと下がる(泣)
早朝から動いているので、そろそろ疲れも出てくる時間なのだろう。ちょっと小腹も空いてきた。ここは早めに切り上げて、山中湖畔で珈琲タイムにして散会することにする。

パノラマ台のもうひとつの魅力は、一面のススキの野原なので、辺りを散策しながら少し写真を撮ることにした。
相変わらず富士山は意地悪をして、その裾しか見せてくれない。だいぶ西に傾いてきた日差しが、ロードトリップの終着点を優しい色で照らしてくれた。

To be continued

Text by Koichi Miyase
Photography by Koichi Miyase and Akihito Nagata
Photographic equipment / iPhone 6S + tokyo grapher, Canon EOS 5D Mark2
Vehicle / Jeep Wrangler Unlimited Sahara

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